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市民発電で、まちづくりをしてみませんか?

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[雑人]春1番/長久手のいまを語る「混流喫茶」

人が混ざって思いのままに「長久手のいま」を語り合う特集「混流喫茶」をお届けします。第1回は「循環型社会」をテーマに、長久手エネルギー自治準備会の村田元夫さん、造園家の酒井賀津子さん、ドイツ人コミュニケーション・デザイナーのクレメンス・メッツラーさんにお集まりいただきました。場所をお借りした長久手市東部にある喫茶店アルキペラゴは素敵なガーデンカフェ。春の日差しを浴びて年輩のボランティアさんがチキンとベーコンの燻製を作っている横で、「エネルギー自治※」という聞きなれない言葉に、滑り出しはぎこちなく始まったのでした。

撮影/太田昌宏

村田元夫 [写真右]
日本総合研究所研究員を経て企業経営やCSR支援のコンサルタント業務のほか、民間団体のコミュニティービジネスなどにも携わる

酒井賀津子 [写真中]
景観設計のブルームアンドブルーム社長。事務所にガーデンc kii^-  8iuカフェ「アルキペラゴ」を併設し、「楽しく食べる」を提案する

クレメンス・メッツラー [写真左]
ドイツ出身のコミュニケーション・デザイナー。国立芸術デザイン大学卒業後、広告会社勤務を経てベルリンでフリーのデザイナーに。1998年に来日した

「とかいなか」に住みたい

酒井 今日はなぜ私と村田さんになったの(笑)私が「太陽光パネルは何年かすればゴミになる」と言ったから?エネルギー自治の会議には1回しか出ていない。でも、再生エネルギーは絶対必要だと思っている。

村田 まず太陽光パネルありきではない。エネルギー自治だから電気ありきでもなくて・・・。
メッツラー そのほかは何ですか?ドイツは風力をよく利用します。

村田 そのほかは太陽熱とか・・・。我が家は15年前から太陽光パネルと太陽熱の温水器を使っているが、温水器はパネルに比べて元が取れるんですね。太陽光パネルは光を一回電気に変えるのでロスが多い。

酒井 温水器って久しぶりに聞く。昔、屋根にあったが重みで瓦がずれてきて処分に困った。

スタッフ1 太陽光パネルって、詐欺っぽいやり方した人いたじゃない。あの印象が悪い。

スタッフ2 あるある、怪しいイメージ。

村田 東日本大震災で一般の人もエネルギー問題に疑問を持つようになった。我々の市民発電がうまく行くかは微妙だが、一度うまく回ると、特別働かなくてもどんどんお金になる。その利益を子育てや障害者、高齢者支援に使いたい。我々が考えるエネルギー自治は、目的が自治で、エネルギーは手段。

酒井 私は24歳で初めてパリ、ロンドンに行った。向こうの障害者はすごく堂々としていて、エレベーターのボタンも「何であなた押さないの」と私の顔を見たりする。びっくりして「日本はまだまだ」と思った。で、帰った途端に電柱がすごく気になったりした。名東区で7年間お店をやったが、どうにも土のある場所に移りたいと思って。ちょうどその頃、どこかの不動産さんが「とかいなか」という造語を使い始め、「なんて素敵な言葉なんだ」と思った。都会に近くてちょっと足を延ばすとホッとできる「とかいなか」に住みたいと思ってこの場所に移った。

村田 ドイツって「とかいなか」?まちと森がうまくプランニングされていて一体になっていない?

メッツラー まちの中と外との境界がはっきりしている。車で大きな通りを走っていても、いつの間にか右も左も畑ばかりの田舎になり何キロ先にまちがあってというパターンがある。でも、日本は境界があいまい。

村田 酒井さんがやりたい「とかいなか」は?

酒井 私の父は認知症ですごい徘徊があり、家にいても「今日は失礼しました」といって出て行ったりする。でも、ちょっとボケた人に黄色いバッチつけて分かるようにすると対応が変わる。「あのおじいちゃん黄色いバッヂつけてるから見ていてあげなきゃ」って。「とかいなか」に福祉が絡んで、ちょっとだけ、みんなで気をつけるまちを作りたい。

まちづくりって何?

スタ1 話は飛ぶが、今のスマホ文化で大学生がひょいとのぞいたら、自分の目の前でLINEを触りながら悪口されてた、という話がある。普通の会話も大事なことも相手を前に言えない。時代がどう変わってしまったのかと思う。エネルギー自治と言った時に、まちづくりの意味も手段化されるのではないか。

スタ2 分かります。まちづくりをしたいと思っても、何がまちづくりか分からなくなる。

メッツラー まちって何ですか?道路も、人間関係もまちです。ビジネスもふる里もまちです。まず、この概念から始めなければ。

スタ2 祖母が高齢になって大阪から長久手に引っ越してきた。それで初めて自分にできることを考えた。でも、そもそもまちづくりに接したことがないから漠然としてしまう。

スタ1 LINEの話に戻ると友達さえいればつながりができる。自分の暮らしや環境、友人や隣近所も変わっている気がするが、不思議なのは自然だけは老若男女が気持ちいい。

酒井 本当にそう思う?うちのスタッフの子供でもここに来てずっと夢中でゲームやっている。その子供が大人になって、「自然っていいよな」と思うだろうか?

スタ2 僕らの世代は火を起こした経験もないので、焚き火だけでも盛り上がる。

メッツラー 経験不足なんだよ。

私がやりたいからやる

村田 今回、エネルギー自治に火をつけた萩原(喜之)さん※がやっているのは「食える市民運動」。「みんな一緒に」ではなく、「わたしがやりたい」とそれだけ。萩原さんは自分がゴミを拾いたいから拾う。一人じゃ全部拾いきれないから仲間を集める。東日本大震災で原発事故が起きて、放射能のことも分からないから2年、3年と現地に行って議論した。そもそも原発を使わない電力を自分で選べないのか?もう一つの選択肢の提供が大事だとなった。

スタ1 まちづくりって何なんでしょう?

村田 まちづくりは自分たちで作りたいまちを自分たちで作ることだと思う。田舎って煩わしさもあるけどもともと自治があって、地域再生やっている人に「自治って本当は喜びなんだよ」と言われた。そんなこと考えたことがなくて「なるほど、自治は楽しいことなんだ」と思った。その時、ちょうど萩原さんがエネルギー自治と言って来たんで、「おっ、エネルギーで楽しい自治がやれるんだ」と思った。

酒井 先日の宝塚すみれ発電の井上保子さんの講演もそんな感じよね。だから、自分が素直にやりたいことから始めようと思った。

 

ふるさとを見つけよう

メッツラー 僕はドイツから日本に来て、ここがどういうところかを調べて、理解して、自分のふるさとになった。僕はドイツ人だが、帰る場所がここにできた。日本に初めて来て京都の旅館に泊まったあと名古屋へ来た。「木がない、緑がない、コンクリート、電線ばかり・・」。がっかりしたよ。でも、調べ始めました。あの〜、探検?そして珍しい古い建物とか、まちのでき方や背景がわかって来た。わかってくると、名古屋みたいに醜いと思っていたまちが面白くなるよ。昭和のマンションとかビルとかが、どうしてこうなったか分かると面白い。わかってくると美しく感じる。長久手のどこが特別かを理解しなければ。「ふるさと」という気持ちが少なくなっていることが残念で寂しいし、気になる。(いい考えね〜)(素晴らしい!)

 

※萩原喜之さん
1980年に中部リサイクル運動市民の会を設立。資源リサイクル、ごみ減量化などを推進。NPO法人地域の未来・志援センター理事

撮影協力 【アルキペラゴ】
2009年オープン、店名は英語で群島の意味。お庭の石釜で焼くチャオズ(餃子)ランチが人気。年2回のガーデンライブや、毎月の音楽の日も。

長久手市真行田2780
10:00~17:30
月曜、第1、3火曜定休(変動あり)
http://archi-pel-ago.com
080-6922-6771