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まちで話題の“あの人”に会いたい!勝田照夫さん

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〜会いたくてながくて〜

モータースポーツを通じて
日本を安全な
交通事故のない国にしたい

株式会社ラック代表取締役会長 勝田照夫さん

 モータースポーツ(自動車競技)と聞いて皆さんはどんなものをイメージしますか? 特別車好きな方を除いては、テレビでレースの様子を目にすることの多いF1を思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、モータースポーツとはもっと幅広く、案外身近に楽しめるもの。そして人々の暮らしに役立つもの。長久手が誇る日本のモータースポーツ界のレジェンドが、そう教えてくれました。

日本人は「運転技術」をもっと高めなくては

 【勝田さん】自動車の性能って日々進化していますよね。メーカーの努力で安全性もすごく上がってる。なのに交通事故は減らない。なんで?って思いますが、答えは簡単。一人ひとりの運転技術が向上していないの。

【雑人】 日本人は運転があまり上手くない?

残念ながらそう思います。そして、一般の人の車や運転への関心自体、低い。私は1975年にWRC(世界ラリー選手権)に初参戦してからたびたび海外に行っています。そこで気づいたのはラリーのようなモータースポーツが盛んな国では、観客の人たちの層がすごく厚いんですよ。沿道にもたくさんの家族連れが観に来ていて。一流のドライバーたちの運転技術を間近で見る機会があるかどうかの差は大きいと感じてきました。

昨年のセントラルラリーで、孫の貴元さんが乗車した車両のミニカー。「18番」は、言わば貴元さんの背番号。

【ラリーってどんな競技?】 ラリーとは、複数の競技区間=スペシャルステージ(SS)を1台ずつタイムアタックし、その合計タイムで勝敗を競うモータースポーツです。競技区間であるSSは一般の交通が遮断され、閉鎖された環境で行われますが、SSとSSの間をつなぐ移動区間(リエゾン)は、一般の道を使い、一般車と同じように交通法規を守って移動します。また、車両の修復やセッティングの変更を行う場所「サービスパーク」も見所の一つ。ダメージを受けた車両を修復する熟練メカニックの手際は必見!(JRCA公式ウェブサイト「全日本ラリーの基礎知識」より)

ラリーは人と車と社会を育てる!

だから勝田さんはラリーの国内開催に尽力されているんですね

 はい。日本人はモータースポーツというとまずF1を思い浮かべる方が多いんじゃないでしょうか。私の孫もかつて全日本F3ドライバーでしたし、フォーミュラカーのレースもとても魅力的です。ただ、フォーミュラレースって車も特別なものならドライバーも限られた人。そんなことから日本ではモータースポーツは市民の生活とかけ離れたイメージになっているんですよね。でも、本来は違うんです。モータースポーツって、一般の人が乗る車(市販車)を使って一般道で行う競技、すなわちラリーから始まったんですよ。そのラリーがもっと日本で開催されるようになれば、今より多くの人がモータースポーツに興味を持ってくれるし運転技術や安全に対する関心ももっともっと高まる、そう思っています。

ラリーを楽しむコツはありますか?

 閉ざされた区域で、市販車を最高の運転技術で乗りこなす様子を目の当たりにできるのが最大の魅力ですが、そのほかに付随して行われるイベントもぜひ楽しんでいただきたいです。たとえばラリードライバーによる安全運転教室。自動車についての知識やマナー、ハンドルの切り方、スピードの調節といった基礎的なことは、わかっているようで意外と知らないことも多いんですよね。参加されたあとは運転するときに意識することが以前とは変わっていると思います。

大会開催にはメーカーの協力も必要ですね

 自動車メーカーにとってもラリーに携わることはものすごくメリットがあるんです。まずは、優れた技術者が育つということ。それから、競技に勝てるようエンジンでもパーツでもどういった改良をしていったらいいのかと考えることは当然ながら自社製品の商品力アップにつながります。かつて苦境の時代に国際大会の場から日本の自動車メーカーは次々と撤退していきました。その後再びトヨタが参戦するようになって、GR(GAZOO Racing)カンパニーがラリーで得たことを新しい車づくりに生かしつつある。すばらしいことだと思いますね。

ラリーの普及は社会全体にもメリットがありそうですね

 そのとおりです。より多くの方がすばらしい運転技術を目の当たりにして、車の楽しさをもっと感じてもらえたら。そして国をあげて運転技術と安全への意識を高めていけば交通事故はきっと減ります。ラリーの普及で日本に文化としてのモータースポーツを根付かせる。そうすることで社会貢献ができる! そう確信しています。


ラリードライバー、親子3代

現在のラックの社長であり日本屈指のラリードライバーである息子の範彦さん(写真右)、孫の貴元さん(中/フィンランド在住)もラリードライバーという生粋のラリー一家! 「(競技を)やれと言ったことはない」、と照夫会長(左)。

「幼い頃から車好きの人たちに囲まれて生活していたので自然に車や競技に興味がわいて。気づいたらやってました(笑)」と、範彦社長。写真はセントラルラリー愛知・岐阜2019、貴元さんとモリコロパークにて。

孫の貴元さんは、レーシングカートから始まって、フォーミュラのオーディションを受けFCJにて見事チャンピオンに!

そして、世界に名だたる名門チームTOM’Sの契約ドライバーとなりF3で活躍。その後、ラリーへ転身。


プロフィール
かつたてるお
1943年生まれ。実家の家業を継ぐためにトヨタ自動車を退社後、趣味が高じ愛知県豊田市にラリーショップをオープン(現在は長久手市に移転)。1969年全日本ラリーシリーズで国内1位獲得。1975年日本人で初めて英国WRCに参加。 以後毎年2戦英国のラリーに参加し、1983年WRC最終戦の英国「RACラリー」で日本人初のクラス1位入賞。

1983年WRC英国RAC Rallyでの照夫会長。現在は、運転技術の世界最高峰を競うWRCの日本開催を願い、力を注いでいる


Rally Japan 2021 開催決定!

勝田さんが行政及び自動車関係企業とタッグを組んで誘致に尽力、地元長久手で11月19日からの開催が待ち望まれたFIA世界ラリー選手権(WRC)「Rally Japan 2020」は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、開催断念となりました。ですが、2021年11月11・12・13日に開催することが決定!この長久手のまちに世界の凄腕ラリーチームが集います!

LUCK(ラック)
長久手市岩作琵琶ケ池20-1
TEL 0561-63-0101
定休日 /毎週水曜日、第1・第3火曜日
営業時間/平日9:00〜20:00、
日・祝9:00〜19:00