文:ながわ けいこ
キラキラと赤や黄色に光る美しい街路樹を
冷たい北風が冬仕度に変えていきます。
この季節に吹く風を「木枯らし」と名付けた先人は
なんと素敵な感性の持ち主だったのでしょう!
子どもの集中力、記憶力が増す冬だから。
昔は冬が苦手だった私ですが子どもたちと野外活動をするようになって冬が大好きになりました。焚き火の匂い、霜柱を踏む音、生き物たちが冬眠している森はシーンと静まり返り木々の息遣いが聞こえてきそうです。そして何より雪の森!!とても美しくて幻想的!!とびきり贅沢な時間になるのです!
日本は四季がはっきりとしている世界でも珍しい国。季節に合わせ様々な暮らしの工夫をしてきました。厳しい冬を迎えるために、秋の収穫を喜び、冬に蓄え、そして春からの一年の計画を立て準備をするのが冬の過ごし方。
現代社会が便利になっても自然の営みは変わりません。子どもたちにとっても、冬は春から学んできたことの仕上げの時期となります。冬は集中力、記憶力が増す時。ぜひこの一年を振り返りまとめ、習得する事を意識して過ごしてみてはいかがでしょうか?百人一首、カルタの「ことわざ」を覚えるというのも冬の醍醐味です!受験生の皆さん!冬を味方に春を目指してガンバレ!!
季節に合わせた体験の場を与えたい。
アトリエでは冬には職人技にチャレンジします。昨年は「伊勢型紙」に挑戦しました!いくつもの工程を経て一つのものを作り出していく体験は一年の技術の総仕上げとなります。
春から夏には感性を育み、秋から冬は技術の習得をする。この『季節に合わせたプログラム』を取り入れてから子どもたちは年を重ねるたび、驚くほど成長をしています!
今、日本の子どもたちの学習能力が低下していると言われますが、子どもたちの様子を見ていて思うことは能力が低下したのではなく体験する場が失われているだけと感じます。「環境によって子どもたちは驚くほど成長をしていく」これがここ数年強く感じていることです。子どもたちは可能性のぎっしり詰まった花の種!!厳しい冬を乗り越え花咲く春は必ずどの子にもやってきます。これからも見守り育むそんな場所を作り続けていきたいと思っています。

和紙を柿渋で染め、デザインを考え、それをカッターナイフで切り抜きます。

紗を貼り、布に染色をして完成!いくつもの工程を経て作品を作り出していきます。


切り絵や模写など、忍耐力のいるこんな制作には、
この季節がぴったり。