昔話 「狐女房」
西の山のなあ、ほれからな、狐がおったげながな、
ある男の人が寄ったときには、
きれいな娘でおったげなとな。
そいでその娘をむらってきて、
ほしたら昔のことやで機を織っとらせるとな、
ほんでいつも機を織っとらせるが、
心地がよかったのか、
はたごに腰掛けて居眠りしたら
子供が見に行った。
その子が男の子の五つの子でなあ。
そいで、「ああおっかァ、尻尾が出とる」ちって
そう言ったら、
びっくりこいてその人目開いたが遅かって、
ほんで、まあおれんようになって、
もうこいで、西の山また狐になって戻ってくときに、
「来たきゃおいで、見たきゃおいで」ちって、
そう言ってその狐のおっかさんは
戻らしたげなぞよ。
うちのおばあちゃんがしゃべってるのは方言だったんだ!
つねさん、ぼく、もっと知りたいな。
ほうか、ほしたら、まっと話そみゃあ
長久手にも「方言」ってあるんです。通称「長久手弁」ともいわれます。世は平成から新元号へ! という中ではございますが、長久手町史にある長久手在住の明治、大正生まれのみなさまがお話してくださった記述をご紹介します。
「ほやほや」とうなずく人も、「いやぁーしたなぁ」と懐かしむ人もいれば「ほうだろうか」と首をかしげる人も、そんな言葉づかいがあることも知らなければ、聞いたことがない人もいらっしゃるでしょう。
ほんだで、いずれの皆様にも楽しんでいただけるよう、長久手弁なるものをシリーズでご紹介したいと思います。
今回は、とにもかくにも、ぜひご一読くださいませ。