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生きる力を育てる [2] 自然体験は生きる力を育てる

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子ども達に必要なこ
とそれは「生きる力」

文:ながわ けいこ

初夏の長久手は青々とした田園風景に蛙の大合唱。あぜ道の紫陽花も美しい季節。活動的な夏の始まりです!

『季節の実りをいただきまーす!』 春は山菜採り、 夏は果実でジャム、 秋は畑が豊作! 冬は大根などの漬物作り。

私は、『森と畑とアートと食べ物』をテーマに愛知県立芸術大学の石井先生、ART&LIFE自然学校の宮崎先生と共に長久手の豊かなフィールドの中、畑仕事や季節ごとに採れる食材を使った料理等を楽しむ子ども野外活動を10年続けています。今年でなんと100回に! そこで得た気付きの1つが「生きる力を育てる」には自然体験が子ども達に必要であるという事でした。

生きる力は本能

私達は2011年の大震災から様々な意識の変革を迫られています。災害が起きた時、大切なのは「(1)自分の命を守ること(2)とっさの判断を冷静に考え行動すること」と言われています。これについて深く考える出来事がありました。当時のメンバーは、長年自然活動をしていたグループと、小学3年生まで自然体験をしたことのない3名。ある日、森の中で突然大きな物音がした時の事です。幼い頃から森に親しんでいる子ども達は一斉に頭を抱え座り込み、体験の少ない3人は大声をあげて逃げ出したのです。すると座り込んだ子ども達は走り去る彼らに「走るなあ!! 森の中で走っては危ないよお!」と叫んだのです。そして恐る恐る周りを見回し、危険がないかを確認してからゆっくりと立ち上がりました。

私達が指示する前の一瞬の出来事です。彼らは、森の中では上から何か落ちてくるかもしれないし、急に走り出すと、つまずいて転ぶので危ないのだと逃げた3人に教えていました。とっさの判断というのは、体で覚えていることが必要だと気付かされたのです。こんな場面が他にもたくさんあり、そして体験が少なかった子ども達も活動を続けていくうちにいつの間にか、身につけていきました。「生きる力」というのは、知識だけでなく、自らが身体で学び、これが命を守るのだと子ども達から学びました。現代社会の中では自然体験というのは、手間暇かけて環境を作ってあげないとできなくなりました。幼い時期に自然体験をさせることができるのは大人です。今、面倒な環境を体験させる事がとても重要になっているのです。ぜひとも多くの人達に気付いてもらいたいと思っています。

さあ!! 夏がやってきますよ!! 今年の夏は思いきり自然の中で遊びましょう!

撮影 石井晴雄